一般社団法人 保育教諭養成課程研究会

理事長挨拶

理事長よりご挨拶

保育教諭養成課程研究会は何を目指すか

 保育教諭養成課程研究会は三つの目的を持っています。
 一つは、幼稚園教諭養成課程の改善とその養成課程を持っている養成校同士での情報交換の場とすることです。実は、保育士養成課程については、全国保育士養成協議会があり、ほとんどの保育士養成を担っている養成校が加入し、情報交換をし、また養成のための研究の発表をしています。また随時、厚生労働省の保育課からの行政説明をしていて、国の保育所や保育士や保育士養成に関わる同校の情報を伝える場ともしています。それに対して、幼稚園の場合にはいっさいそういうものはありません。おそらく従来、文部科学省はその役割を国立大学教育学部の幼稚園教育の部会に頼っていたのかと思われますが、私学の割合が極めて高い現在、それは実質的にはあまり機能しません。そこで、幼稚園教諭の養成をめぐり、保育士養成協議会と対応した組織を作ろうとしたのです。ただし、本研究会は、養成学校単位の加入ではなく、養成校の教員個人の加入としました。より自由で多様な発想を元に研究を進めようとすることと、そういった養成校の中核を担う教員に各養成校の改善へと向かう後押しをしたいと考えたからです。
 もう一つは、将来、幼稚園教諭免許と保育士資格が統合されるとしたら、そのための準備を今から進めるべきだという問題意識からです。そのためにあえて「保育教諭」の養成課程という名称を名乗りました。その統合が実現するかどうかは今まだ分かりませんが、少なくともいずれ議論が始まることだけは確かです。その際、統合するとしたら、どういう資格であるべきか、その要請のイメージのみならず、具体的なカリキュラムはどうなっているべきかをいつでも提言できる準備をしておきたいのです。また、同時に、既に増え始めている認定こども園のカリキュラムや実践との連動し、あり得る保育教諭の実態を解明し、構想したいと思います。
 第三には、現職の幼稚園教諭や保育教諭のための研修の仕組みを検討し、提案することです。既に文部科学省は「学び続ける教員像」を中央教育審議会答申として打ち出し、教職課程の改革とともに現職教員の研修の充実を提言しています。今や養成校の役割は養成に止まらず、現職者の研修へと広がりつつあります。その仕組みを幼稚園教諭や保育教諭に即して実現していく必要があります。

 そのために、3つの試みを始めました。
 第一は、文部科学省初等中等教育局幼児教育課と教職員課が幼稚園教諭の養成について責任を持ち、また発言するので、その二つの課と連携し、情報交換とともに、時に行政説明を受ける場を設けることです。併せて、内閣府子ども・子育て本部(子ども・子育て支援制度の全体の管轄)と厚生労働省保育課とも連携し、情報交換を進めています。
 第二は、(今のところ)文部科学省の委託調査を受けています。そのためにも、一般社団法人格を取り、調査委託費を受ける資格を得ています。既に、二つの研究を行い、その調査結果を随時公表しています。また、自治体等でも研修にも役立ててもらっています。
 第三は、会員による養成課程についての研究の推進です。いくつかの部会を設け、グループ研究を進めています。養成課程のあり方、カリキュラムや実習指導の改善策、さらに認定こども園の実践を巡って、また、その現職の研修等、いくつものテーマに分かれて、多くの会員が研究をしています。その成果は、既に本研究会の紀要に発表されていますが、また年に1回の大会の時に公表されます。
 ぜひ幼稚園教諭を養成しているどの学校からも加入をして頂いて、活発な改善・向上の営みが全国で展開されることを期待しています。

理事長 無藤 隆