一般社団法人 保育教諭養成課程研究会

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2023年度を迎えて

一般社団法人保育教諭養成課程研究会 無藤 隆理事長

2023年度が始まります。いろいろなことが起きていく転換の年になると思われます。
第一にいよいよこども家庭庁が発足します。子ども・家庭・子育てを巡る全ての施策を統括します。切れ目のない連続した支援を目指すということですが。そこには当然、幼児教育・保育が含まれます。幼稚園の管轄は文部科学省に残りますが、緊密に協働して、幼稚園・保育所・認定こども園のための施策と方針を統合的に定めていくでしょう。また、幼児教育施設の子育て支援機能を広げる施策も推進します。子育てまた家庭への福祉機能を大きく広げていく中で、幼児教育施設の教育機能の拡充と質の確保・向上へと高めていくことを期待したいと思います。
第二に幼稚園教育要領等の改訂のための議論が開始されます。幼稚園教育要領と保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領を相互に密接につながりをもちながら、検討していくことになると思われます。もちろん幼稚園教育要領は特に小学校以降の学習指導要領の検討ともつながりをもちつつ検討されます。
第三に年長幼児と小学校1年生の架け橋カリキュラムの開発が本格化します。特に、その自治体の全ての園が幼稚園・保育所・認定こども園また公立・私立と参加することと、小学校1年生の1年間のカリキュラムにおいての検討を進めることが課題です。小学校においては全ての教科等の主要単元について幼児教育との関連を資質・能力と10の姿を活用して接続させることが求められます。さらに文部科学省による指定自治体のみならず、全国の全ての自治体での推進が必要です。それと連動して、自治体での幼児教育センターの設置が進んできています。それを広げることと、その中身の拡充、特に全ての園に対する研修を広げることが進められることでしょう。
第四に少子化はかなりの勢いで進んできています。それは出生率がこれ以上低下しないとしても起きていくことです。それに伴い、幼児教育・保育施設の統合は避けられない課題となってきました。それをどう進めるのか。それはまた養成課程校の志望者の減少とも直結していきます。養成校の問題は保育職の魅力をいかに高めるかとも連動します。
さて、それらを進めるにあたり、最も重要なのは財源の問題です。それがどこまで可能なのか。国の財政の厳しさは言うまでもありません。その中で子ども・家庭をどこまで優先できるか。そしてその中で、幼児教育・保育施設の質の向上のための施策にどこまで予算を組めるのか。保育者一人あたりの子どもの人数を減らすことでも、それは保育者の数を増やし、またその一人あたりの補助を増加させないと実現しないでしょう。
もう一つの課題は幼児教育・保育施設の一元化に向かうかどうかの問題です。すぐに制度的に一元化することは難しいように思えますが。要領・指針の実質的な統合は進むでしょう。また認定こども園の増加は相当に進むと予想されます。そこから養成校における幼稚園教諭と保育士の課程の統合は可能となるのかどうか。できる限り近付けることは公に議論されることはあり得ます。さらにそのことと小学校教諭の免許課程の併有はどう可能にするか。それは架け橋プログラムが全国に実質化するために一つの大きな要因になります。
このように2023年度の課題は大きなものになります。その議論の始まりという方が正確かもしれません。本研究会としてもその論の形成に参加して、意義ある貢献をしたいと考えています。



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