一般社団法人 保育教諭養成課程研究会

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幼稚園教諭養成の今後

 無藤 隆(白梅学園大学)

1.幼稚園教諭養成はきちんと検討されていない
 幼稚園教諭養成のあり方を検討する場がない。
 文科省との関係は幼稚園教諭養成は国立中心である。
 多様な養成校のあり方に配慮しての検討が必要である。
 幼保の互いに関連のないカリキュラム改訂が混乱を招く。

2.幼稚園教諭免許と保育士資格の統合の見通し
 幼稚園教諭免許と保育士資格の統合の議論がいずれ(来年度?)開始される。
 その統合は一部の短大などが消極的であるが、多くは肯定的・積極的である。
 保育士を保育所保育に限定した資格とする(他の福祉施設や小学生以上についてはオプションとするなどが考えられる)。
 二種、一種、専修に合わせるのが現実的ではないか。保育士の上級資格をそれに合わせて作るということでもある。

3.教職大学院の可能性
 小学校以上について、教職大学院の拡充が図られる可能性がある(新たな政権でまだ確かではない)。その場合、新任者の多くが大学院修了になるか、または数年の試行期間を経て、本採用となる。
 幼稚園教諭については短大修了者を多く抱えており、大学院中心の体制に入るのは難しいかも知れない。また、特に民間の園については長期の勤務とは限らず、大学院修了を目指すないし試行期間を延ばすのも無理がある。
 とはいえ、一部の教諭について導入は可能かも知れない。

4.上級資格のインセンティブ
 上級資格を持ったり、研修に多く参加することが現職者のインセンティブになるか。
 例えば、手当・賞与がつく、給与表・号俸が上がる、補助金が増える、などがあるか。
 また幼保の経営側にそのための研修を受けさせる義務と研修機会のための補助金を強化する必要がある。

5.現職への教育機会への取り組み
 養成校として、今後、現職への教育を本業の一つとして位置づける必要がある
 免許更新講習、初任者研修への協力、公開講座、上級免許講習、幼保免許・資格講習、等。
 そのための専任・特任教員の配置を考えるべきだ。

6.通信・夜間大学院の可能性
 現職への教育として特に通信や夜間の大学院の普及が望まれる。
 全国のどこに行っても、それが可能になるようにする。
 その内容は専門性の高度開発とするべきだ。

7.養成校の大学院の共同化
 教職大学院や夜間大学院などについて、国公私立を越えた協働大学院を設立してはどうか。
 博士課程など特に共同化が望まれる。
 保育学の研究体制をその支えとして作っていく。

8.カリキュラムにおける実習の拡大や体験活動の導入
 四年制大学のカリキュラムの充実が求められる。
 最低基準を超えた拡充を各々の大学の工夫による可能にする。
 特に、実習の時間を長くする(2ヶ月とか1学期とか)。
 1年生からの体験活動を継続的に行う。それと講義・演習を連動させる。

9.学士力のコンピタンシーの作成と試験の可能性
 卒業時におけるコンピタンシー(力)の明確化を行う。
 そのためのカリキュラムの組み直しをする。
 足りないのは何か。卒業単位・授業時間を増やさずに対応する。
 卒業時試験の導入も検討されよう。

10.養成校教師の幼保への関わり
 実務家ないし実践に詳しい教員を中心とする。
 大部分の教員が保育への実践への助言者・研修講師等の関わりが可能になるようにする。
 特任教員等の活用を通して、専任教員の教育・校務・研究・現場への関与の両立を図る。

11.現職の専門性開発
 現職の保育者の必要な力を記述する。
 実際の保育実践を観察し、その良さと改善点を明記できる仕組みを作る。
 養成・現職研修での力量形成と実践改善の研修の仕組みを作る。



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